憲法を活かそう 週刊ニュース No.1003 2025年5月1日(木)
いまの社会を、憲法通りにつくり変えよう
4月16日の参院憲法審査会
憲法54条の参院緊急集会に関する意見交換
自民党の佐藤正久筆頭幹事は、参議院の緊急集会について、「現行憲法唯一の緊急事態条項であり参議院の重要な機能」と指摘する一方で、「衆議院の任期特例などの様々な対処法についても議論を深めた上で、憲法に緊急事態対応のための規定を置くことは必要である」と述べました。自民党改憲実現本部の論点整理は、@憲法に「9条の2」を新設して自衛隊を明記することと、A緊急時に「緊急政令」を出せるようにするため根拠規定を憲法に定めることを柱としたものだけに、佐藤氏の発言は、自民党の緊急事態改憲の狙いを述べたものと思われました。
立憲民主党の熊谷裕人幹事は、「大震災等の深刻な国家緊急事態をも想定した憲法制定時の立法事実、戦前の権力暴走の反省に基づく制度趣旨、一刻も早い総選挙の実施を必然とする平時への強力な復元力の仕組みなどを踏まえ、 緊急集会は、国民主権、国会中心主義、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理に基づき、かつ、これらの諸原理を守り抜くための制度であり、良識の府参議院が世界に誇るべき制度」だと評価したうえで、「緊急集会の機能強化と必要な
 
法整備、選挙制度との連携も含めた運用改善の議論を精力的に行うことを提言する」と述べ、緊急集会の機能強化に必要な法整備を議論するよう唱えました。
日本共産党の山添拓幹事は、自民党などが緊急集会は臨時的で緊急時に対応できないとして、国会議員の任期延長などを主張しているのに対し、緊急事態を口実に権力が乱用された事例を挙げ批判しました。日中戦争下の1941年に「国政について不必要に議論を誘発」するとして衆院任期が1年延長され、その1年後には「政治力の結集が戦争遂行のため緊要」だとして任期満了選挙が行われたことを示し、「選挙困難事態が恣意的に判断され、その結果が戦争の惨禍だった事実は決して看過できない」と強調しました。
 また、内乱首謀罪で起訴された韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による「非常戒厳」や、経済的非常事態として国際緊急経済権限法を根拠にトランプ米大統領が強行した関税引き上げを挙げて、「緊急時に名を借りた権力の乱用は至る所に実例があり、教訓を明らかにしている」と指摘。「危機をあおり緊急事態条項をと喧伝するのでなく、憲法に基づき権利を擁護する政治こそ国会に求められている」と強調しました。
日本共産党の仁比聡平議員は、選挙困難事態での任期延長の議論は自民党が2012年の改憲草案で主張した緊急事態条項と一体のものだと強調。同草案は「人々の自由と権利を一内閣の政令をもって奪う立憲主義の破壊だ」と批判し、自民党は同草案の押しつけをやめるべきだと主張しました。
一方、日本維新の会の松沢委員は、維新、国民民主など3党派の緊急事態条項案を憲法審査会の審議の俎上にのせていただきたいと主張し、国民民主党も緊急事態条項創設に前向きな考えを示しました。

★☆★ 5月10日(土)  14:30〜
  兵庫県自治体問題研究所第55回総会
      記念シンポジウム

 場所:兵庫県保険医協会5階会議室
 シンポ:これでいいのか兵庫県政
    〜斉藤県政と“地方民主主義”を考える
   岡田章宏さん・山脇伸児さん・竹田幸宏さん
 資料代:¥500
 事前申込制:氏名・住所・連絡先を下記へ
 (連)Fax078−599−5531


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