1.プロセスの問題
エネルギー基本計画策定プロセスには、市民が参加する場がありません。今回も国会論議ではなく審議会と閣議決定で決めてしまうやり方は根本的に間違っています。エネルギー基本計画審議会は現在16人の委員がいるが殆ど原発推進者です。審議会における検討に若い世代を含む多様な立場の専門家や環境団体、市民の参加を確保するとともに、民主的で透明なプロセスによる「国民的議論」を行うことを求めましょう。
2.野心的な気候変動目標が必要
脱炭素への視点が日本は弱く、パリ協定遵守を前面にすべきです。脱炭素目標は、日本は「2030年に2013年比46%減」と極めて低く、イギリスの「1990年比68%減」、ドイツの「1990年比65%減」などと較べてもひどすぎます。エネルギー基本計画の見直しとあわせ、2030年の温室効果ガス削減目標を、1.5℃目標やCOP28合意に整合させ、先進国としての責任を果たせる水準に引き上げることが必要です。
加えて、2035年に向けた新たな「野心的な削減目標(*)」を設定し、遅くとも2025年2月までに国連に提出することが必要です。
*「世界全体で2035年までに60%以上削減(2019年比)」を大きく上回る目標
3.2035年までに、原子力を使わずに電源の脱炭素化を
第六次エネ基でも委員から多くの疑問は出されていました。つまり「原発への依存を減らすというコトバがあるのに、なぜ原発20%にするのか」の答えがないままでした。
さらにGX以降、原発推進を「国の責務」へと大転換し、老朽原発再稼働だけでなく新増設や「革新炉」なるものに膨大な資金投入の動きも出てきました。今回はAI化への時代で電力需要も増大するとの理由も付け加え「原発電力の必要性」も強調しています。
原発を優先すると、いま日本で起きている再エネ発電の出力抑制・出力制御の時代となり、再エネ発電の発展にブレーキがかかります。G7サミットで合意されている「2035年までに電源のほぼすべてを脱炭素化する」目標は、原子力に頼らず省エネと再エネで実現する必要があります。
COP28で合意された「化石燃料からの脱却」と「2030年までの再エネ設備容量3倍及びエネルギー効率改善率2倍」というグローバル目標に、先進国である日本として大きく貢献する必要があります。
4.原子力は新増設・リプレースや新型炉の開発をやめ、期限を定めて廃止を
能登地震による志賀原発の状況から、あらためて地震・津波・火山の日本列島に原発は不要なことが明らかになりました。大きな地盤ごと移動する能登半島の事態に、耐震性はもとより原発施設全ての損傷が発生する危険も露呈し、また複合災害によって、避難も屋